精油の解説
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精油の選び方
アロマオイルを購入するときに、何を基準に選べばよいでしょうか?
1.〔精油が心身に作用するメカニズム(経路)を考える〕
自分が取り込みたい効能はどのメカニズムが一番効果的か?見極める
●精油が心と体に作用するメカニズム
- 鼻から脳へ
- 肺から血液へ
- 皮膚から血液、リンパへ
2.〔精油の使い方を考える〕
自分が効果を得たい部位に精油の薬効成分が吸収したり作用しやすいアイテムを決める
●使い方を考える
- 芳香浴(ディフューザー、オイルウォーマー、アロマライト、マグカップ等)
- アロマバス(全身浴、半身浴、手浴、足浴)
- フェイシャルスチーム・吸入
- シップ
- トリートメント(マッサージ)
3.〔自分の体質や環境を考える〕
持病や妊娠、精油を使用する部屋に赤ちゃんやペットは一緒にいないかを認識する。
精油の中には体質によって使用を控えたほうが良いものもあります。
安全にアロマテラピーを楽しむために確認をしておきましょう。
妊娠中に使用を控えた方がよい精油、注意が必要な精油などは、精油の名前で把握するのも良いですが、出来れば分類グループで覚えることをお勧めします。
今回は、注意して頂きたい精油の一部を紹介します。
今日に至るまでに沢山の化学者によって、これまでに3000種以上の芳香成分が長い研究を経て発見されています。
その化学的な組織と薬理作用から、大きな分類として9グループに分類することが出来ます。(詳しくは精油の化学へ)
専門的な分野になりますが、難しく考える必要はありません。
自分に必要な分類から覚えていきましょう。
アロマテラピーを理解する一歩を踏み出しましょう。
妊娠初期~妊産婦、乳幼児への使用を避けたほうが良い分類
分類成分:セスキテルペンアルコール類、ジテルペンアルコール類、ケトン類、酸化物(オキサイド)類、ラクトン類
妊娠初期~妊産婦、乳幼児への使用を避けたほうが良い精油 (主に通経作用、ホルモン作用および子宮収縮作用、子宮強壮作用があるもの)
アンジェリカ、アニス、イランイラン、オレガノ、クラリセージ、クローブ、カンファー、キャロットシード、クローブ、サイプレス、シダーウッド、シナモン、シナモンリーフ、ジャーマン・カモミール、ジャスミン(アブソリュート含む)、ジュニパー、スイートマージョラム、スパイクラベンダー、セージ、ゼラニウム、タイム、チモール、タラゴン、バジル、パルマローザ、ヒノキ、フェンネル、ペパーミント、マージョラム、ミルラ、メリッサ、ラベンダースーパー、レモングラス、レモンユーカリ、ユーカリ、ローズ・アブソリュート、ローズオットー、ローズマリー、ローマン・カモミール
→胎盤形成や胎児の器官形成期にあたる妊娠初期~妊娠中においてはフェノール類やケトン類を含み軽い通経作用を持つ精油は芳香浴以外の方法では避けること。
なお、注意事項がない精油も芳香以外で使用する際は、短期の使用、低濃度での使用、原液を肌に塗らないよう心がけましょう。
妊娠6ヶ月以降は使用できる精油があります。個人差がありますので、使用できる精油の紹介は控えさせて頂きます。
大量・長期使用での使用を避けたほうが良い分類
分類成分:フェノール類、フェノールエーテル類
大量・長期使用での使用を避けたほうが良い精油
オレガノ、クローブ、シトロネラ、タイム、タンゴラ、バジル、フェンネル、レモンユーカリ、レモングラス
→該当する成分が微量~25%以上含まれる精油があります。
25%以上含まれる(クローブ、バジル、タンゴラ、フェンネル)は大量・長期使用で肝毒性、皮膚刺激性を示すので避けること。
短期の使用、低濃度での使用、原液を肌に塗らないよう心がけましょう。
敏感肌への使用には注意をして頂きたい分類
分類成分:アルデヒド類
敏感肌への使用には注意をして頂きたい精油
アンジェリカ、イランイラン、オレンジ・スイート、カルダモン、クローブ、グレープフルーツ、シダーウッド、シトロネラ、シナモン、シナモンリーフ、ジャスミン(アブソリュート含む)、ジュニパー、ジンジャー、ゼラニウム、タイム、パイン、バジル、フェンネル、ブラックペッパー、パチュリ、ヒノキ、ペパーミント、ベルガモット、ベンゾイン、メリッサ、マートル、ユーカリ・グロブルス、ユズ、レモン、レモングラス、ローズマリー
→該当する成分が微量~25%以上含まれる精油があります。
25%以上含まれる(レモンユーカリ、レモングラス)は皮膚刺激が強く肌が荒れるので、芳香浴以外の方法では注意をすること。
短期の使用、低濃度での使用、原液を肌に塗らないよう心がけましょう。
使用時に注意をして頂きたい精油
〔てんかん〕
フェンネル、ローズマリー、ユーカリ・グロブルス
〔高血圧〕
タイム、ローズマリー
→ローズマリーには種類が沢山あり中でもローズマリーカンファーが日本補完代替医療学会の実験結果でも血圧を上げる作用があるとされています。
しかし、血圧に問題ない人と血圧が高い人とで実験しててみると、ローズマリーカンファーの香りが好きか?嫌いか?でも結果が左右します。
成分はもちろんですが、血圧の上昇や下降には脳で考えた精神的な事も深く作用してしまう為に、はっきりしない部分があるようです。
〔光毒性〕
アンジェリカ、スイート・オレンジ・グレープフルーツ、ベルガモット、マンダリン、ユズ、レモン
→柑橘系の果皮に多く含まれるフロクマリン類、特にベルガモット、グレープフルーツのベルガプテンには光毒性があります。
肌に使用した後、12時間は紫外線を避けましょう。
シミの原因になる恐れがあります。
購入する際のチェック項目
1.100%天然の精油を選びましょう。
100%天然の「精油」あるいは「エッセンシャルオイル」として販売されているものを選びましょう。
単に「アロマオイル」として売られているものは化学合成された香料を使用していたり、合成のポプリオイルや植物油で既に希釈されたマッサージオイルである場合があります。
2.精油のパッケージや瓶のラベルに必要情報が記載されているか?
インターネットなどで購入する際も詳細ページなどにきちんと必要情報が記載されているのかを確認しましょう。
必要な情報をチェックしましょう。
- ①精油名
- ②学名
- ③原産地
- ④輸入先
- ⑤製造元
なお、下記の情報もあるととても良いですね。
- ⑥成分分析表
- ⑦ロット番号
精油の種類やロットにより対象化学成分の種類や数、その成分の含有量が異なりますので薬効成分を重視した使用目的の場合はとても必要になります。
3.金額で選ばず、きちんと目的に合わせた精油を選びましょう。
精油を抽出するコストから考えても、種類や希少性により値段が大きく異なります。
例えば、ハーブ系や柑橘系の精油は比較的、抽出しやすい為、低コストで問題なく流通できます。
反対に花びらから抽出される希少性の高いもの(ローズ、ジャスミン、ネロリ)などは摘む時期や抽出が困難な為にコスト面では高価にせざる得ない現実があります。
他にはメーカーやブランドによっても価格が異なります。
オーガニック認定や有機農産物認定を受けた精油は精油になる前から厳選された農家や環境によって大事に育てられているので安心で安全な分価格に反映されます。
もちろん、高価格だから効能が強い訳ではないので、低価格のものでも粗悪品とは限りません。
最後は購入する皆さんが「購入する際のチェック項目」をクリアしたメーカーやブランドから使用目的によって選ぶと良いでしょう。
香りは、自分の本能に働きかけてくるものです。
初心者の方は頭でっかちにならず、自分が好きで落ち着くと思う香りから選ぶのも良いでしょう。
精油は一般的な薬とは違うので、嫌いな香りではその効果もうまく発揮されません。
自分の心身の状態と向き合い、特にサポートとなるものを選ぶと良いでしょう。
ケモタイプ オイル
ケモタイプとは
農作物が天候の影響を受けて豊作な年や不作な年があったり、同じ種でも土地の状況によって味が全く違ったりする話を聞いたことはありませんか?
精油の芳香成分も例外ではなく、抽出する精油の原料となる植物が受ける日光量、温度、季節変動、土壌の内容成分などの生育環境で変動します。
植物学は、花や葉などの形状を分類し種類を定めています。
そのため植物学的には学名も同じなのに、成分構成が全く違う精油を作り出す植物があった場合、精油は違ったものになってしまいます。
これを区別する考え方がケモタイプ(化学種)です。
ラベンダーを例に上げてみましょう。
真正ラベンダーやラベンダーストエカスのように、植物学的には単一種なので「ラベンダー」と呼びますが、同一の植物でありながら成分構成に大きな差異が出ます。
このような場合を化学種「ケモタイプ」と呼びます。
ケモタイプの存在はラベンダーの他に、タイム、ローズマリーなどに見られます。
先ほどの例でも上げましたが、ラベンダーでも真正ラベンダー油、ラベンダースピカ油、ラバンジン油、ラベンダーストエカス油では含有成分も薬効にも著しい差があります。
ではどのくらい効能に異なる差があるのかラベンダーを例に見てみましょう。
真正ラベンダー油
不眠に有効な鎮静作用、インフルエンザや気管支炎など呼吸器系に有用な抗炎症作用が特徴です。
ラベンダースピカ油
約30%の1,8-シネオールと約15%のカンファーを含むため優れた去痰作用ですべての部分の皮膚に適応可能なので重症な火傷にも使用されます。
ラベンダーストエカス油
約75%のケトンを含有するため抗カタル作用、抗炎症作用、はんこん形成作用があります。
ラバンジン油
真正ラベンダーより鎮静成分はとても弱いですが、関節部分の痛みと筋肉のこわばりに特に良い精油です。
このように同じ仲間の精油でも大きく薬効が違うことが分かります。